公害弁連第36回総会議案書
2007.3.21  東京
【6】 公害関係資料
【ノーモア・ミナマタ国賠訴訟関係】

2006(平成18)年6月11日
国民の皆様へ
不知火患者会
ノーモア・ミナマタ国賠等訴訟原告団
ノーモア・ミナマタ国賠等訴訟弁護団

司法救済制度による正当な解決を求める声明

 私たちは,本日,1000人が参加した決起集会において,司法救済制度による正当な解決を求めて闘っていくことを改めて決意しました。
 私たちは,昨年10月3日,チッソ,国,熊本県に対し損害賠償を求め,熊本地方裁判所にノーモア・ミナマタ国賠訴訟を提起し,さらに5陣まで追加提訴しました。現在1000人を超える原告が裁判に立ち上がっています。
 一昨年10月に言い渡された最高裁判所・水俣病関西訴訟判決後も国は認定基準を見直しませんでした。その結果,認定審査会は委員の選任ができず,未だに開催されていません。環境省が導入した新保健手帳の制度は,水俣病とは認めないままに医療費の補助で終わらせようとするものであり,補償の名に値するものではありません。水俣病患者は,訴訟するほかに救済を受ける途はなかったのです。
 最近になり熊本県は,医療手帳の再開を政府,与党に求めました。これは,熊本県が新保健手帳や療養手当ての付与などでは解決できないことを自ら認め,再度の政治解決を要請したものであり,解決へ向けた同県の姿勢は評価できると考えます。
 しかし,平成7年の政府解決策は,国,熊本県の責任を前提としておらず,水俣病と認めないもので,補償内容も司法が認めたものに比較して不十分です。最高裁判決により,司法判断が確定した以上,これを踏まえて解決がなされるべきです。
 私たちが求める正当な解決とは,チッソ,国,熊本県の責任に基づき,水俣病と認めたうえでの,司法が認めた補償内容による解決のことです。
 水俣病の歴史は,被害を無いものにしよう画策する加害者側と,これに抗する患者側の激しい闘いの歴史でした。行政は,患者側に立つのではなく,むしろ患者のの前に立ちはだかり,正しい救済を妨げてきました。行政は,患者が辛苦の末闘い取った判決等の後,場当たり的な施策を行い,終わりにしようとしてきました。しかし,場当たり的な施策では全面的解決を図ることはできなかったのです。
 私たちは,憲法上公正な紛争解決機関と位置付けられ,水俣病患者の権利を拡張してきた司法の場こそ,全面解決を図るに相応しい場であると確信します。
 今度こそ,全面的な解決を図らなければなりません。私たちの訴訟のあとに訴訟があってはならないのです。私たちは,あくまでも司法救済制度による正当な解決を求めて断固闘っていく決意です。
 国民の皆様のご理解とご支援を切にお願いするものです。