公害弁連第38回総会議案書
2009.3.29  東京
【3】 特別報告
公害・地球環境問題懇談会の報告
─人類の未来を決めるCOP15の成功をめざして
公害・地球環境問題懇談会
事務局長代行 弁護士 清水 瀞

<はじめに>
 私たちは昨年4月19日に「2008年総会」を開き、「ストップ温暖化」を最重点課題にすえ、6月の第33回公害総行動や8月の「有明海・ミナマタ・川辺川を結ぶ現地調査」など、この一年間の活動をすすめてきた。■「ストップ温暖化」の取り組みでは、公害総行動実行委員会・公害弁連と三者の共同を軸に、公害発生源と温暖化の大口排出源が同じであることを強調しながら、中長期削減目標と大口排出源に対する削減義務化をアピールしてきた。■COP13(バリ)をうけた07年12月22日のシンポジウムを皮切りに08年5月10日、12月20日と3回のシンポジウムを開いた。いずれも早川光俊弁護士(公害弁連、CASA)に基調報告をお願いし、情勢と課題を明らかにしてもらった。■まったく前進のなかった洞爺湖サミットの総括のなかで、情勢に噛み合った機敏な運動を検討し、的確な情報を発信するために、「温暖化対策推進委員会」を設置し、「ウェブ」を立ち上げた。この推進委員会は08年10月以降5回を重ね、公害・地球懇の主な団体会員(全労連、自治労連、新婦人、農民連)と公害弁連・公害総行動実行委員会代表に出席を要請している。■また、08年8月に「MAKE the RULEキャンペーン実行委員会」が発足。公害・地球懇として実行委員会に加入し、気候ネット・CASA・FoEジャパン・WWFジャパンや全国の市民団体と一緒に活動している。シロベエ実行委員長には公害団体合同旗びらきや国民要求実現2・13決起集会(日比谷野外音楽堂に3,500人が参加)に登場してもらい、ストップ温暖化を大いにアピールしてもらった。第34回公害総行動(6月1〜2日)でも活躍してもらう予定である。

1. 洞爺湖サミットへ
(1)  第1回のシンポジウム「COP13(バリ)から洞爺湖サミットへ」と第2回のシンポジウム「洞爺湖サミットへ−環境ウェーブのよびかけ」に取り組み、「実効ある温暖化対策を求める国民署名」を具体化することにした。署名用紙は、公害総行動、公害弁連、公害・地球懇三者連名のものや、新婦人と公害・地球懇,全労連と公害・地球懇など差替えパターンもつくり工夫した。
(2)  洞爺湖サミット(7月7〜9日)にむけては厳しい異常な警備による規制で現地行動がむずかしいことから7月4〜6日の札幌行動をおこなった。
(3)  ミナマタが日本列島縦断行動に取り組み北上した。札幌で合流し、①全労連との共催で「学習交流会」をおこない、②ピースウォークに参加し、③大通り公園で「やま・かわ・うみ・そらを結ぶアピール」(展示とリレートーク)をおこなった。

2. 草の根から学習・署名運動を!DVDを制作
(1)  職場・地域・学園での学習会を網の目のように組織していこうと、「地球の温暖化をとめて」のDVDの制作を企画。映演労連の全面協力を得て、短期間のうちに完成し、すでに約2,000本(ビデオ版含む)が普及され、活用されている。
(2)  学習を力に署名・宣伝行動に踏み出している。その先頭に立っている新婦人では、「自動販売機調査」などユニークな活動も始まり、多くの会員が活動に参加するようになってきた。COP14(ポーランド・ポズナニ)の際の「グローバル・アクションデー」では全国で30箇所を超える宣伝・署名行動を組織し、大きな役割を発揮した。パンフレットの発行も企画され、全労連バージョンが完成した。

3. 世界的な金融危機・同時不況のもとで
(1)  「年越派遣村」に象徴される国民の生活危機のもとで、不況打開が緊急課題となっている。温暖化対策に国民の関心が集中しにくい情勢が指摘されているが、一方では、オバマ米大統領が登場し「グリーン・ニューディール」が打ち出されるなどの変化も生まれ、日本政府が世界から孤立している状況が浮き彫りになっている。
(2)  12月20日のシンポジウム「私たちが変える温暖化対策」で確認したこと、「COP14終了にあたっての声明」で明らかにしたことは、①中期削減目標での合意がCOP15の成功のカギであり、目標を示していない日本の責任が問われる②日本政府の消極姿勢の原因は、危機感の欠如と大口排出源の規制を義務化できないところにある③中期削減目標の設定と大口排出源の削減義務化が不可欠である。大量生産・輸出依存型経済に未来はない。内需循環型の産業経済に大転換すべきである。

4. 09年前半の三つの行動について
4─1  「2月行動」(環境省交渉と国会請願行動)
(1)  「貧困なくせ!仕事よこせ!国民の要求実現2・13総行動では、実行委員会に加わり地球の危機を訴えた。①環境省交渉をおこない、政府懇談会の報告−中期削減目標6案の内容を厳しく追求し、国際交渉に逆行する報告の撤回を求めた。②総決起集会にシロベエ委員長と代表が壇上に上がり、「温暖化から地球を守ろう」とのシュプレヒコールを響かせた。
(2)  「国民署名」国会請願行動の院内集会には会議室が溢れる78名が参加。主催団体代表のあいさつ(全労連議長、新婦人会長、総行動運営委員長、公害弁連事務局長)と「MRキャンペーン実行委員会」平田事務局長の連帯あいさつに続いて、民主・共産・社民・公明各党の国会議員の激励あいさつがあった。そのあと全参院議員241名に署名をもって紹介議員のお願いに回り、その場で民主・共産・社民・無所属の13名の議員が引き受け、その後も次々増え、20名を超えた。この日提出された署名は15万7千名分。

4─2  「4月行動」(高野山ふぉーらむとアースデーの取り組み)
(1)  「地球ふぉーらむ in 高野山」が4月25日(土)〜26日(日)に高野山大学で開催される。主催はMAKE the RULEキャンペーン実行委員会/COP15ネットワーク関西/わかやま環境ネットワーク/雑賀技術研究所。1日目(午後)は基調報告とパネルディスカッション。2日目(午前)は四つの分科会。加速する温暖化、まだ間に合う!コペンハーゲンで決めよう「地救」のルールというよびかけ。公害・地球懇は、このよびかけに応え,当初の総会日程を変更し、東京から10名程度の代表を送るとともに、各傘下団体の近畿圏組織に参加をよびかけることにした。
(2)  この西の高野山ふぉーらむと連帯しながら、東ではアースデーの行動を組織することにしている。4月20〜26日を「アースデーウイーク」として、各所で都合のよい日程で「宣伝・署名行動と集会」等をおこなうようによびかけていく。

4─3  「6月公害総行動」
(1)  第33回公害総行動では、洞爺湖サミットにむけての大きなステップと位置づけ、①内閣府・外務省・経済産業省・環境省等の政府交渉をおこない、②総決起集会での基調報告・ビアカンペシーナ代表からの連帯メッセージ・公害弁連幹事長あいさつ等でストップ温暖化をアピールした。今回の第34回総行動を準備する「富山合宿」での意志統一をふまえ準備が始まっている。
(2)  6月までに政府・環境省は「中期削減目標」を発表すると言っているが、先にふれたようにきわめて消極的である。したがって①政府交渉を強化し②総決起集会に国民の声を結集し③霞ヶ関行動で迫ることが必要となっている。

<おわりに>
(1)  公害・地球懇は5月9日に「2009年総会」を開き、日本の責任をはたすための「残り半年間の運動」についての具体的な方針を打ち出そうと考えています。
(2)  近くおこなわれる国会解散・総選挙によって国会の力関係を変えながら、国会を動かし、政治の力で、「中期削減目標の設定」と「大口排出源の削減義務化」を実現しようと決意しています。
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