憲法ミュージカル
「ムツゴロウ・ラプソディ」
―舞台の上で諫早「開門」を表現―

弁護士 中島宏治(大阪弁護士会)

■ 大阪「憲法ミュージカル」のとりくみ
 2008年4月から5月にかけて、大阪で憲法ミュージカル「ロラ・マシン物語」が上演されました。フィリピンの元「慰安婦」トマサ・サリノグさんの一生を追いながら人間の尊厳や平和の大切さをミュージカルの形で表現することは多くの観客の心を揺さぶり、五公演で5200人以上の観客を動員して、大成功に終わりました。  動員数だけでなく、公演アンケートを読むと、多くの方々がミュージカルを堪能してくれたことを感じました。一例を紹介します。

■ 「憲法ミュージカル」とは?
 埼玉から始まった憲法ミュージカルは、若手を中心とする弁護士が呼びかけ人となって実行委員会を立ち上げ、市民ミュージカルのプロ集団が作品を制作・演出し、オーディションによって公募された市民100人の出演によって作られています。
 山梨では2006年「少年がいて」、東京では2007年「キジムナー」がそれぞれ上演され、2008年「ロラ・マシン物語」は山梨・東京に大阪も加わり三地域合計12公演という過去最大の企画となりました。
 なぜ、これほど好評なのでしょう。実際に参加してみると、市民ミュージカルの面白さをひしひしと感じました。まず、参加動機が様々です。歌や踊りを習っていて発表の場を求めていた人、平和運動に取り組んでいた人、単に目立ちたい人…。年齢も4〜71歳とバラバラです。主人公の支援をやっておられた方もいました。これらの接点のなかった人たちが150時間にも及ぶ稽古を経て、声を出し、体を動かしながら、楽しく憲法の精神を学び、それを広めていく、そのプロセスが非常に面白いのです。

■ 2009年は諫早干拓事業をテーマに
 大阪では、2009年も「憲法ミュージカル」に取り組みます。今回のテーマは、諫早湾干拓事業です。同事業はすでに完了し、干拓地においては営農が開始されています。にもかかわらず、2008年6月、佐賀地裁が、中長期調査のための開門を命ずる判決を出しました。現在進行中の事件です。公演に先立ち、出演者募集の前に後藤富和弁護士と原告平方氏、出演者が集まった合宿の時に馬奈木昭雄弁護士と、「よみがえれ!有明訴訟」弁護団・原告を講師に招いて事件の学習を行いました。
 今回の作品「ムツゴロウ・ラプソディ」は、ムツゴロウなど動物たちを主人公にして、干潟がどれほど動物たちにとって素晴らしかったものか、干潟の浄化作用、生態系のすばらしさを表現します。湾が閉め切られ、潮受堤防ができてからそれらの自然がどうなっていったのか、漁師たちの生活はどうなっていったのか、そして漁を追われ、トラック運転手として傭車生活をはじめた漁師とムツゴロウの友情を描いていきます。全体として、人間が大地の中で生きているということを感じさせる作品になっていると思います。最後に「開門」が見られるのか、それは見てのお楽しみです。
 出演者たちは3月から毎週土日、合計150時間以上の練習を経て、舞台に立ちます。練習の成果があって、素人には見えない出来映えに仕上がってきました(馬奈木弁護士にもお褒めの言葉をいただきました)。あとは本番を迎えるばかりです。ぜひ、ご覧下さい。


■ 公演日程「ムツゴロウ・ラプソディ」■
6月20日(土)厚生年金会館芸術ホール(大阪市)
昼公演13:30 開演
夜公演18:00 開演
6月21日(日)メイシアター大ホール(吹田市)
17:00 開演
7月4日(土)高槻現代劇場大ホール(高槻市)
18:00 開演
7月5日(日)プリズムホール大ホール(八尾市)
18:00 開演
7月12日(日)ラブリーホール大ホール(河内長野市)
15:30 開演
※チケット代金は次のとおりです(当日は500円増し)。
●一般:2,500円
●高大生:2,000円
●中学生以下・障がい者:1,500円
※問い合わせ先
大阪・憲法ミュージカル2009実行委員会
TEL.06−6180−6900
または
中島(法円坂法律事務所) TEL.06−6944−1271
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