【韓国司法修習生日本研修感想文】
感想文3

孫京(ソンギョンミン)

 韓国の司法研修院(日本の司法研修所)は司法修習生が将来に社会の多様な分野の専門家に成長させるための機会を提供する趣旨から専門機関研修制度を設けている。日本研修は専門機関研修制度に含まれている。以下は日本研修で感じたことについて簡略にまとめてみた。
 初めは日本福岡で有明訴訟弁護団の担当弁護士より有明訴訟に関する講義を聞いた。有明訴訟は韓国のセマングム干拓事業に関する行政訴訟と類似する点が多かったし,両訴訟を互いに比較しながら講義してくださったことでとてもリアルに感じることができた。残念ながら韓国のセマングム干拓事業も日本の諌早湾干拓事業も工事が継続しているが,諌早湾の場合は干拓事業が事実上完了した状態であった。しかし,弁護士はけっしてあきらめていなかったし,必ず有明を元来の姿に復元させるために努力を続けると話していた。環境関連訴訟にとって韓日両国の裁判部はまだ環境の価値を疎かにしているような気がしたことが残念であった。
 次の日は諌早湾干拓事業現場を見ることができた。濁った海を実際に見てとても哀れに思った。このような大規模公共事業にとっては環境に対する考慮がより多く必要であると思った。
 そして,西淀川大気汚染現場を見てから,西淀川大気汚染訴訟を担当した弁護士より講義を聞いた。西淀川大気汚染訴訟は工場,自動車の煤煙による被害を受けた人々が国などを相手に損害賠償などを請求した訴訟であった。損害賠償金の一部であおぞら財団を設立したと聞いた。ただし,自動車の煤煙による被害部分では一部の人に限って認定されたという点が惜しかった。
 次に,石綿被害訴訟を担当している弁護士より講義を聞き,被害者に直接会って話を聞いた。最近韓国では地下鉄駅の石綿による健康侵害がマスコミに大きく報道された。過去に安くて丈夫な素材として国によって推奨された石綿工場で働いた人々が年月を経って石綿による健康上の苦しみを味わっているのを見てとても悲しかった。
 東京では東京大気汚染訴訟の担当弁護士より講義を聞いた。韓国でもソウル大気汚染訴訟が提訴されている。大気汚染による損害賠償訴訟では特に因果関係の立証が問題になるが,これを解決するための弁護士の論理,証拠提出などについて簡略ながら知ることができた。
 そして,新横田基地騒音訴訟の担当弁護士より講義を聞いた。新横田基地の向かい側の建物に上って騒音を聞いた。当時飛行機の離着陸はなかったが,飛行機のエンジンが回る音とか,ヘリコプターの音がとても大きく聞こえた。韓国でも空軍部隊の近くで飛行機騒音で苦しんでいる人々がいるが,日本の事例は韓国での訴訟にも多くの影響を及ぼすのではと考えてみた。
 日本での短い期間であったが,福岡,大阪,東京で大きく問題になった環境訴訟について簡略ながら知ることができた。日本の環境訴訟を見ると難しいが,損害賠償を受けるという点で韓国より進んでいるという感じを受けた。今度の日本研修を通じて環境の重要性に関してもう一度考えるようになったし,将来法曹人として活動しながら環境関連問題に関心を持って参加したいと思うようになった。

(このページの先頭に戻る)