【韓国司法修習生日本研修感想文】
感想文1
林在仁(イムジェイン)
日本の環境紛争訴訟を学ぶために行われた2007年7月2日から11日までの日本研修日程は私に環境問題に対する関心と注意を再び喚起させてくれる契機になった。
日本研修日程は日本に到着して最初の日に諌早湾干拓事業に対する講演を聞くことから始まった。2日目は諌早湾干拓事業の現場を訪問したが,どういう目的でこのような事業が行われたのかが理解できなかった。政府側のこの干拓事業に対する説明は状況によって内容が変わるなど一貫性がまったくなかった。この干拓事業によって干潟が破壊され,数多い動植物が絶滅危機にあるという事実について聞きながら,人間によって無分別に自然が破壊される実状が哀れで,気の毒な気がした。特に,諌早湾干拓事業よりもっと大きい韓国のセマングム干拓事業はどれだけ広い干潟とそこに生息している動植物を破壊したのかと思うと恐ろしい上に腹が立った。
西淀川大気汚染地域の訪問と担当弁護士の講演を通じて過去の成長中心の政策が環境問題にどれだけ無知であったかを知ることができた。多くの工場から無防備に吹き出る煤煙がどれほど周辺環境と人間に弊害を及ぼしたのかを知ることができた。
泉南石綿被害地域の訪問と弁護団との懇談を通じて苦しくてすさまじかった我々の前の世代の実状を知ることができた。自分自身の体を蝕むという事実は知らず,単に食べて生きて行くために石綿工場で働いた彼らに対して国は何の責任もないのだろうか。石綿の危険性を知らせなかった国の職務放置を指摘すべきで,その被害者に補償もすべきである。
東京大気汚染訴訟に対する講演は日本研修日程の中で一番清々する内容であった。2007年7月中に自動車メーカーおよび国と和解をすると聞いている。この訴訟のためにがんばってきた弁護士と原告に敬意を示したい。
最後に横田米軍基地現場の訪問と弁護団との懇談会を通じて米軍基地および何の騒音防止対策も立てなかった国に対する怒りを抑えることができなかった。しかし,30年以上かけてこの訴訟を担当してきた中杉喜代司弁護士と原告を見て今後の希望を見出すことができたし,彼らの熱情と積極的な態度に大きな敬意を表する。韓国も米軍基地によって様々な弊害を受けているだけに彼らの苦しみが身近に感じられた。
このようにして日本研修日程は終了し,日本の環境紛争訴訟過程および実状を少なからず知ることができた。日本研修を通じて知り得た知識を基に今後の韓国で発生する環境紛争訴訟に積極的に参加したいと思う。開発でなく美しい環境が我々の未来を明るくしてくれるのは当然である。今まで環境問題に対する認識不足があったが,日本研修を通じて新しく自覚させてもらう契機になった。