【韓国司法修習生日本研修感想文】
感想文2

房志(パンジヒョン)

 私は司法研修院(日本の司法研修所)で環境法学会に加入して活動してきたが,司法研修院の忙しい日程の中で環境問題について十分勉強する時間を持たず,日本の環境訴訟関連の研修に行くことになった。
 日本研修中に見回った主要環境訴訟は福岡の有明訴訟,大阪の西淀川大気汚染訴訟,石綿被害訴訟,東京の東京大気汚染訴訟,新横田基地騒音訴訟などに関するものであった。日本研修に行く前はこのような問題について聞くことになるだろうと聞いたときはとても重要な問題ではあるが,今のところ問題を解決するための特別な手段はないと思っていた。ところが,最初の日に福岡で有明訴訟について話を聞いたときに,韓国または世界的な環境問題に似ているけれども何かが違う点に気づいた。
 諌早湾干拓事業問題は韓国のセマングム干拓事業問題と類似している。ところが,大きく異なる点は諌早湾干拓事業問題を見る社会の目と弁護士の見方であった。韓国ではセマングム干拓事業について特に元来の目的であった農地作成では土地利用の経済性が落ちるとし,他の用途に使おうとする話が絶え間なく出ているが,日本では農地として使用できないのであれば再び海に戻すべきであるという雰囲気であると聞いた。また,韓国ではセマングム干拓事業関連訴訟として工事差止仮処分の決定は初めから最後まで3人の弁護士が行ったことに対して,有明訴訟は数十人の弁護士が共に協力して働いた。この2点が異なっている。
 このような点は大阪でも東京でも同様であった。特に大阪と東京の大気汚染訴訟で20余年間の年月を数十人の弁護士と市民団体の協力で勝訴したという話は私にとって嬉しく,しかも大きな衝撃であった。その理由は,私がこのような種類の訴訟は因果関係の立証がとても難しくて勝訴するのが難しいと思っていたからである。
 日本のこのような訴訟は疫学的方法を通じて因果関係を立証したと聞いた。ところが,韓国では疫学的方法を通じた因果関係の立証がまだ学説として紹介される程度にとどまっている。今後これについてもっと詳しく研究する機会があったら良いと思った。また,今度の日本研修が疫学的方法を通じた因果関係の証明について知ることができる良い機会であったにも関わらず,私の準備不足のために詳しく聞けなかったことがとても残念である。
 また,今度の日本研修で話を聞けば良かったのにと思うものがあったが,それは環境訴訟について共に協力する弁護団がどのような過程を通じて構成され,どのように協力しているかに対する話である。まだ韓国では環境訴訟を弁護団が行うのはとても少ない。関心があり,意志のある数人の弁護士と環境団体が環境訴訟を行ってきたと言っても過言ではない。日本ではどのように弁護団が構成されるようになったのか,どのような契機があったのか,弁護団を作って運営する中でどのような問題点があったのかなどが知りたくなった。今後機会があればこのような話を聞くことができたらと思う。
 無我夢中で行われた実務修習の中で日本に行って何を勉強することになるのか,何を重点的に見なければならないのかについて十分に知らない中で,単に他の人々について行った日本研修であった。日本研修から戻ってきて考えて見ると,日本研修を通じて以前持っていた先入観を捨てることができたし,日本には環境に関心を持って協力して結果を出している多くの方々がいるという事実を知っただけでなく,日本,世界,また韓国でもそのような方々が大勢いるだろうという希望を持つことができた。そして,そのような自己の信念と関心を持って生活している多くの弁護士と活動家に会うことができたことが何よりも貴重な経験であった。このような機会が持てるように支えてくださった方々に心から感謝する。

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