(第37回総会・諫早)

 昨年発表された,IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書は,地球温暖化が加速しており,このまま温室効果ガスの排出を続け,工業化(1850年頃)以前から平均気温の上昇が2℃を超えと,地球規模の回復不可能な環境破壊により人類の健全な生存が脅かされる可能性があることを明らかにした。
 そして,工業化(1850年頃)以前からの昇温を2℃~2.4℃に抑制するためには,大気中のCO2濃度を350~400ppmに,温室効果ガス濃度を445~490ppmに安定化させ,2015年までには排出ピークを迎え,2050年にはCO2排出量を2000年比で50~85%削減することが必要とし,とりわけ先進国は2020年までに90年比で25~40%削減が必要としている。
 ところが,日本の温室効果ガスの排出量は削減どころか,増加し続けており,日本の削減義務である90年比で6%削減の目処はまったくたっていない。一昨年来行われてきた京都議定書目標達成計画の見直しでも,国内排出量取引,環境税や自然エネルギーの買取補償制度などの6%削減に不可欠な追加的な対策がすべて先送りされてしまった。さらに,こうした国内での削減の見通しがたたないことが,後ろ向きの国際交渉の要因となっている。
 今年7月の洞爺湖サミットでは,地球温暖化問題が最重要課題である。サミットの議長国であり,京都議定書を生んだCOP3のホスト国である日本政府は,京都議定書の第1約束期間の削減目標を確実に達成し,2013年以降の削減義務と制度枠組みについて京都議定書の基本的な構造を受け継ぎ,IPCCの示唆する中長期目標の合意に向けて率先して行動をとる特別の義務がある。
 以上をふまえ,日本政府に対し,以下のことを強く要求する。

(1) 産業界の環境自主行動計画の協定化と抜本的強化,国内排出量取引,環境税や自然エネルギーの買取補償制度などの追加的対策を直ちに実施すること。

(2) 工業化(1850年頃)以前からの気温上昇を2℃未満に留めることを政策目標とし,先進国は2020年までに25~40%削減する必要があるとのIPCCの警告を前提に,日本自身の中長期削減目標を洞爺湖サミットまでに決めること

(3) 2013年以降の制度枠組みは,京都議定書の法的拘束力,総量削減,5年程度の短期の約束期間,順守制度などの基本的構造を受け継ぐべきことを,日本政府として確認すること。

右決議する。

2008年3月23日
全国公害弁護団連絡会議第37回総会