(第36回総会・東京)
農水省は,諌早湾干拓事業の目的に合理性がないのが明らかであるにもかかわらず,遮二無二工事を強行している。
しかし,完成した干拓農地で営農を希望する農業者が集まる見込みはない。
そのため,農水省は,苦肉の策として,長崎県が100%出資した県農業振興公社に干拓農地を一括配分し,同公社が干拓農地を格安で農業者にリースすることで,形だけでも営農の実績を作ろうとしており,しかも,配分負担金約53億円は長崎県が公金を支出してまかなうこととしている。
すなわち,農水省は,際限なく公金を支出することで,諌早湾干拓事業の矛盾を隠蔽しようとしているのである。
しかし,厳しい財政状況にある長崎県に,多額の公金を投入できるだけの余裕はなく,干拓農地への公金支出により長崎県民の福祉や暮らしが圧迫されるのは明らかである。
そもそも,県農業振興公社が一括して干拓農地の配分を受けることは実質的には長崎県が直接配分を受けるのと同じことであり,土地改良法の脱法行為として許されるものではない。
また,そもそも営農の可能性もないのに形だけでも無理に営農を成功させようとするならば,長崎県は際限のない公金の支出を強いられることになり,県民の福祉や暮らしを更に犠牲にすることになる。
農水省,そして,長崎県は,速やかに干拓農地に対する公金の支出をやめ,様々な矛盾を抱えた無駄で有害な公共事業である諌早湾干拓事業を即刻中止すべきである。
2007(平成19)年3月21日
第36回全国公害弁護団連絡会議総会
第36回全国公害弁護団連絡会議総会