(第35回総会・大阪)
1 昨年夏の「クボタショック」以来、全国各地で深刻なアスベスト被害の報道が続いている。とりわけ、尼崎のクボタ周辺地域や大阪・泉南地域では、アスベスト被害は、従業員、地域住民、従業員の家族など地域ぐるみの様相を呈している。大阪じん肺アスベスト弁護団が昨年から行っている医療・法律相談会にも、毎回、元従業員や周辺住民など多くの被害者の方々が訪れている。
2 本年2月3日、隙間のない救済を掲げていわゆる「アスベスト新法」が成立した。この「新法」では、周辺住民や従業員の家族などで、アスベストによる肺ガンや中皮腫の患者には医療費や療養手当等が支給されることになった。ところが、「新法」では、石綿肺などは救済対象からはずされ、支給される給付金も被害実態から見れば著しく低額に抑えられ、到底隙間のない救済と言えるものではない。

 その最大の原因は、国自身にアスベスト被害の深刻さに対する認識と、被害をここまで広げてきた自らの責任に対する自覚がないからにほかならない。国は、早くからアスベストの危険性と被害発生を知りながら万全な対策を怠り、多くの悲惨な被害を発生させたばかりか、今後も数十年に亘って国民をアスベスト被害の危険に晒させることした重大な責任がある。

3 すでに発症している被害者の救済はもとより、今後も発生が予想される多くの被害者の救済のためにも、また、全国各地に蓄積されているアスベストの飛散防止の万全な対策を実現するためにも、「史上最大の社会的災害」といわれるアスベスト被害の実態解明と、大企業や国の責任の明確化が何よりも必要である。

 今こそ、被害者一人一人が、満身の怒りを持って立ち上がることが求められている。
 私たちは、真に隙間のない救済とアスベスト被害の根絶に向けて、多くの国民と共に全力を尽くすことを決議するものである。

以上
2006(平成18)年3月18日
第35回全国公害弁護団連絡会議総会