03年3月,熊本県知事は水俣病第二次訴訟元原告2名(福岡高裁が水俣病と認める確定した判決を受けたもの)の棄却処分を行った。水俣病被害者の会は,直ちに熊本県に抗議するとともに異議申し立てを行っている。
政府(環境省)は,1995年12月の政府解決策において,すでに裁判で水俣病とされた水俣病第二次訴訟原告(1985年判決確定)を解決の中から排除した。当時,水俣病全国連は水俣病患者には一時金のほかに治療費や定期金が必要であり,水俣病第二次訴訟原告はこうした解決を求めているから,差別しないで政府解決策の中に入れるべきであると要求した。
しかし,政府が排除の方針を撤回しないので,やむなく認定申請手続きを継続してきた。水俣病認定申請をしたものは,「治療研究事業」で認定申請中に治療費と健康管理手当を受給することが出来たので,事実上,一定の解決が出来てきた。
これに対し,熊本県はこれまで水俣病第二次訴訟元原告について「特別な事情にあるもの」として処分手続きを進めないまま棚上げにしてきたものである。しかし,熊本県は認定申請中の患者が2ケタ台になった時点で,認定処分を強行することに方針転換をしたのである。
水俣病被害者の会はこうした熊本県の処分に対して,(1)水俣病と認めた司法の判断を全く考慮していない,(2)今回の処分まで20年以上も放置した責任を追及する立場から,異議申し立てを行った。
今回の熊本県の処分やこれを容認する国の態度は,裁判所が水俣病とした水俣病第二次訴訟元原告に対する医療費などの補償を解決する立場ではなく,水俣病患者を切り捨てる立場に立つものである。
このようなことは,決して許してはならず,総会の名において,水俣病第二次訴訟元原告をただちに救済するよう求めるものである。
以上,決議する。
第33回全国公害弁護団連絡会議総会