公害根絶と平和を求める全国公害総行動は今年第29回を迎えました。
 これまで公害被害者は、互いに連帯し、多くの支援者や環境問題に取り組む仲間と強く連帯して闘い、それぞれ大きな成果を勝ち取ってきました。

 そして今当面の課題として、私たちは、東京の大気汚染公害裁判では、不十分であった第1次判決の限界を乗り越える全面勝利判決の獲得を目指して、名乗りを上げていない患者の結集に取り組むとともに、緊急の課題として、国・東京都・自動車メーカー7社に直ちに未救済患者に対する新たな救済制度を創設させるよう全力を尽くします。

 圏央道あきる野土地収用裁決取消訴訟では、昨年10月3日の都知事の代執行を停止するという決定に引き続き、本年4月22日には本訴で国交省の事業認定と東京都収用委員会の収用裁決を取り消すという画期的な判決を獲得しました。仮処分決定が取消され、都の収用手続の進行を止めることはできませんでしたが、これらの勝訴決定・判決は、今後、公害や無駄で有害な公共事業を阻止しようとする私たちの闘いの大きな武器となるものです。

 また、一昨年有明海再生を目指し、諌早湾干拓工事の中止を求める本訴と仮処分を佐賀地裁に提起したよみがえれ!有明海訴訟では、昨年12月仮処分につき事実上結審し、この六月にも勝訴決定が見込まれるところまで到達しました。また昨年これに次いで、公害等調整委員会に申請した「原因裁定」でも本年中の勝利の裁定を目指しています。このような状況の中で農水大臣は、有明海周辺漁民の「有明海で魚介類・ノリ漁に大打撃を与えた原因は諌早湾干拓工事にあるから、少なくとも直ちに潮受け堤防の開門調査を行え」という一致した要求に背を向けて、本年5月11日開門調査の見送りを表明し、あくまで干拓事業を完成させようとやっきになっています。
 闘いが前進すれば、これに対して必死の巻き返しがあるという典型がここにも見られるのです。

 一方、戦争は最大の環境破壊です。イラク戦争の影は、日本の米軍基地のある横田・厚木・嘉手納・普天間等周辺住民に、さらなる騒音公害に加えて、テロの恐怖、墜落の恐怖を与え、基地被害を拡大しています。

 私たちはこれらの公害容認・環境破壊の動きを乗り越えるため、「なくせ公害、守ろう地球環境」の合言葉の下に大きく結集する必要を痛感します。今こそ私たちは個々の闘いを強めつつ、個別の闘いにとどまることなく、大きな意味で一つの闘いをしているのだと位置付けて互いに共同して行動し、一つ一つを勝利するため、一致団結して闘うことが問われています。
 私たち参加者は、このような立場に立って、次の世代に美しい海を山を、きれいな空気を引き継ぎ、かけがえのない地球環境を守ることをここに決意し、参加者全員のアピールとします。

2004年6月1日
第29回全国公害被害者総行動デー・総決起集会