(第37回総会・諫早)

 国営諌早湾干拓事業の潮受堤防(ギロチン)によって諌早湾が締め切られて11年になる。
 諌早湾の締め切り以降,潮流の減少,赤潮の頻発や貧酸素水塊の発生など有明海の環境は激変した。その結果,魚介類は激減し,有明海の特産品である海苔が色落ちするなど,有明海沿岸漁業は壊滅的打撃を受け続けている。
 また,潮受堤防内部の調整池の水質は,締切り直後から農水省の水質環境目標値(環境基準)をはるかに超え,現在に至るまで改善していない。そればかりか,今後の目標達成の見通しすら立っていない。そのため,調整地の水は農業用水としての利用に適さない状態にある。
 さらに,現在、調整池では、毒性の強いアオコが大量発生し,秋・冬場になってもそれが消滅せず,農業用水としての利用に適さないのはもちろん,新たな環境汚染問題を引き起こしかねない状況にある。
 このように潮受堤防を締め切り,調整池を淡水湖化したことによって,有明海の環境は激変し、漁業は壊滅的な影響を被り,さらには.本年4月から開始される干拓地での農業にも悪影響を及ぼしかねない事態に陥っている。
 このような事態を打開するためには.調整池に海水を導入し水質を改善するとともに,諌早湾・有明海の潮流の回復や干潟の再生等により漁場環境が改善させることが必要であるが、そのためには,潮受堤防の南北両排水門を開放することが必要不可欠である。
 そこで,農水省及び長崎県は,一刻も早く、諌早湾潮受堤防の南北両排水門を開放し調整池に海水を導入すべきである。

2008年3月23日
第37回全国公害弁護団連絡会議総会