2009年2月27日
嘉手納基地爆音訴訟原告団 団長 仲村清勇
嘉手納基地爆音訴訟弁護団 団長 池宮城紀夫
本日、福岡高等裁判所那覇支部は、新嘉手納基地爆音差止訴訟の控訴審判決を言い渡したが、最も注目するべき点は、一審判決が不当にも被害救済を否定したW値85未満の地域についても、おおむねその騒音被害の違法性を明確に認め、一審判決の不当性を断罪したことである。この点については、今回の判決は評価すべき側面を有している。
しかしながら、「静かな夜」の回復を求めて困難な闘いを続けてきた5,500余名の住民の声は結局裁判所に届くことはなく、差止請求はまたも排斥され、アメリカ政府を被告とする訴訟においては訴状の送達すらなされなかった。
加えて、一審以来、原告らが最も力を注いで立証してきた、聴覚被害をはじめとするさまざまな健康被害についても、裁判所はその深刻な被害の実態に目を瞑り、正面から認めることをしなかった。膨大な時間と労力を注いで健康被害の立証に尽くしてきた原告団及び弁護団は、一向に解決の道筋の見えない騒音問題に対して、やり場のない怒りに覆われている。
裁判所は、今一度自らの職責をきちんと認識し、真に正義に則った判決とは何かを考え直すべきである。
嘉手納基地周辺住民が騒音被害からの救済を求めて初めて提訴したのは、沖縄の本土復帰から10年後の1982年であったが、それからすでに27年が経過した。しかし、まことに残念なことながら、嘉手納基地のもたらす騒音被害は一向に改善されていない。国も、深刻な騒音問題を解決しようとする意欲を全く持ち合わせていない。
このような国の姿勢に対して、今回裁判所は、司法的救済の道が閉ざされている以上、騒音状況の改善を図るべき政治的な責務を果たせ、と苦言を呈した。
国に対してこのような苦言を呈した裁判所の姿勢は、一向に解決されない爆音被害に対して率直ないらだちを表明したものである。国は、騒音防止協定がまったく守られていない現実をきちんと認識し、防音工事のような小手先の対応で済まそうとする姿勢を根本的に転換するべきである。
われわれは、真に「静かな夜」を住民が手にするその日まで、命の続く限り、法廷内外での闘いを今後も続けていく所存である。