5、シンポジウムでは、全国各地のさまざまな訴訟や取り組みが報告され、全国からの弁護士の参加も多く、大変充実したものとなりました。また、学生や一般の方々の参加も多く、アスベスト被害の啓発活動として有意義なシンポジウムともなりました。泉南地域のアスベスト国賠は、10月12日には原告8名による第2次提訴が行われ、11月29日には第2回弁論期日が予定されており、いよいよ本格的な論戦がスタートします。アスベスト被害の全面的な救済と根絶に向けて、全国でも多様な闘いが求められています。
6、翌23日には、泉南地域の石綿工場跡地を巡る現地調査と国賠原告との交流会が行われました。前日のシンポジウム参加者を中心に、大学教授、大学生、一般市民の方など約30名が参加しました。
午前中の現地調査(バスツアー)では、原告の方たちが働いていた石綿工場跡地を、市民の会の方が案内しました。石綿工場のすぐ隣で農作業をしていた様子、元石綿工場の建物や排気口(ダクト)の状況、いわゆる「石綿村」と呼ばれる狭い地域に石綿工場が集まっていた場所など6カ所を見学しました。道すがら、今はもう跡形もなくなっている工場跡地を指して、「ここにも、ここにも、石綿工場があったんです」という説明を聞くにつけ、「泉南地域が一つの大きな石綿工場であった」という事実が、決して誇張ではないと実感できました。
午後には、参加者と国賠訴訟の原告さんとの交流会を行いました。アスベスト製品の現物(織布やロープなど)を前に、その製造過程や当時の工場内の様子(真っ白なアスベスト粉じんのため前が見えないほどなのに、マスクも着けずに作業をしていた様子など)のほか、原告の身近な親戚や知人の方に肺病で亡くなった方が多いことなど話題に上りました。
初めて石綿工場跡地を巡った方々にとっても、泉南地域の石綿被害の状況や問題点がより理解できたのではないかと思います。