「公害被害者総行動30年のあゆみ」の発刊について

弁護士 鈴木堯博

 「全国公害被害者総行動デー」は,1976年6月の第1回目を皮切りに毎年開催され,本年6月の第31回目をもって満30年を迎えた。これを記念して,全国公害被害者総行動実行委員会から「公害被害者総行動30年のあゆみ」が発刊された。
 本書は2000部印刷されたが,売れ行きは比較的好調で,発刊後3ヶ月足らずで残部は400部となった。読者からの感想もおおかた好評のようなので,編集に関わった者としても喜びにたえない。
 第1回公害総行動デーが取り組まれたのは,政府と財界による公害反対運動に対する熾烈な「まき返し」攻撃を跳ねのけて被害者の人権をまもるためであった。全国の公害被害者は「連帯して公害の根絶を」という旗のもとに団結して総決起した。全国の被害者が力を合わせて取り組んだ初めての「みやこに攻め上るたたかい」であった。このたたかいは大きな成功を収め,全国の公害被害者は,たたかえば勝利の展望がひらかれるという確信をもつにいたった。
 公害総行動30年のあゆみは,被害者が大同団結して命がけでたたかった被害者運動の壮大なドラマである。イタイイタイ病の被害者は,負けたら「戸籍をたたむ」という必死の覚悟で裁判闘争に立ち上がり,困難を克服しながら勝利を収めた。このように壮絶な1つ1つのたたかいが積み重なり,大きな流れとなって,今日の公害反対・環境保全運動の到達点が勝ちとられた。
 公害被害者のたたかいの足跡を振り返ると,人間としての生き様の素晴らしさに感動するとともに,どのような情勢の下であっても,たたかえば必ず勝つ,たたかうことによってこそ正義が実現される,ということに改めて気づかされる。
 本書は,第1部で「公害の根絶と平和を求めて」たたかった公害総行動30年の歴史を俯瞰したうえ,第2部では分野別の個別のたたかいについて,それぞれ見開き2頁に多数の写真入りで要領を得た説明がなされている。
 公害環境問題に関心をもつ多くの人々に本誌が読まれ,活用されることを願っている。
ご注文は,
 全国公害被害者総行動実行委員会事務局
 (Fax:03-3352-9476) へ。
 定価1,000円


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