第30回全国公害被害者総行動デー
集会アピール


 「被害者救済と公害の根絶を」と1976年にスタートした全国公害被害者総行動は、今年第30回を迎えました。
 昨年8月26日、佐賀地裁は、有明海漁民が申請した国営諌早湾干拓事業差止めの仮処分事件につき、漁民の申請を全面的に認め、干拓工事の続行禁止を命じる画期的な決定を下しました。大型公共事業にストップをかけるこの司法判断の流れは、一昨年5月の熊本・川辺川利水訴訟、昨年4月の圏央道あきる野訴訟に続くもので、これは大気汚染裁判の尼崎・名古屋南部の差止判決とこれを踏まえた勝利和解の大きな流れを受けつぐものとなっていました。
 しかしこれに対して、一昨年のあきる野東京高裁決定とこれに次ぐ最高裁決定、そして先般のよみがえれ!有明海訴訟福岡高裁決定、圏央道裏高尾訴訟東京地裁判決と、大きな世論に支持された、環境破壊とムダ遣いの大型公共事業見直しの流れを、おしとどめようとする逆流裁判が、相ついでいます。
 しかし今年で30回を迎えた私たちの総行動の歴史を振り返れば、決して順調な前進を重ねてきた訳ではなく、まさに「巻き返し」攻撃とのせめぎ合いのなかで、これに屈することなく、たたかいを継続、発展させてきたのです。
 今こそ、環境破壊、公害拡大の大型公共事業見直しを求める世論の流れに逆行する、行政追随の裁判を断じて許すことなく、総行動30年の教訓をふまえて、この逆流を断ちきっていきましょう。
 さて当面の課題として、新横田基地公害訴訟の高裁判決が迫っています。本年2月の新嘉手納爆音訴訟では、爆音と健康被害の因果関係を認めず、従来の救済基準を切り下げる不当な判決が下されましたが、これを克服して、差止めも含めた高い水準での勝利を何としてもかちとらなければなりません。
 一方、本年度中には、東京地裁で結審を迎えようとしている東京大気汚染公害裁判では、この間法廷で、汚染の元凶であるディーゼル化を強引に推進した自動車メーカーの責任が余すところなく明らかにされ、東京全域をおおいつくす面的汚染の因果関係も明かとなっています。こうした法廷での前進と、100万署名運動の成功で、来たる判決での勝利を確実にするとともに、自動車メーカーと国、都などに対するたたかいで、新たな救済制度創設に向けた展望を切り開くことが求められています。
 今、平和憲法が最大の危機にさらされています。戦争は最大の環境破壊と人権侵害だと声を大にして行動してきた私たちとしては、何としてもこれを見すごしにする訳にはいきません。平和憲法擁護を顧う国民の皆さんと共に力をつくす決意です。
 私たちは、「なくせ公害、守ろう地球環境」を合い言葉に、21世紀を真に平和と環境の世紀にと願う国民の皆さんと共に運動の輪を拡げていくことを誓って、アピールといたします。

2005年6月9日
第30回全国公害被害者総行動デー・総決起集会



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